大学生のための100人100冊 (1)

文庫で読める100の叡智 

主に人文社会科学とその周縁から代表的な人物100人とその著作(文庫)を各一点ピックアップしました。
2 1タイトルで上下など複数巻のものは、上下で1点としました。
3 リストの配列は著者の50音順とし、日本人は後ろにまとめました。
”100人”に相応しい人物でも、著書が品切れの場合は止むを得ずリストから外しました。
価格は2007年4月現在の税込価格です。
【必読の23人】
A.アインシュタイン Albert Einstein(1879-1955)米時空概念を一変させた相対性理論。その考え方の基本はすべて最初の論文「動いている物体の電気力学」に述べられている。この論文の邦訳に加え原論文の論旨展開を忠実・平易に再現して解説。アインシュタインが創出した思考過程にそって相対論が理解できる一冊。
相対性理論(岩波文庫)588円
T.アドルノ Theodor L.W.Adorno (1903-1969)独フランクフルト学派の名著。西欧文明の根本的自己批判として名高い。“啓蒙”の光と闇を理論的軸にオデュッセイア論・サド論 で具体的に神話の寓意や道徳の根拠を検証。米国大衆文化や反ユダヤ主義批判によって近代の傷口を暴き現代の課題を示す。
啓蒙の弁証法(岩波文庫)1260円
H.アーレント Hannah Arendt(1906-1975)独条件づけられた人間が環境に働きかける内発的な能力、「人間の条件」の最も基本的要素となる活動力は、《労働》《仕事》《活動》の三側面から考察できる。ところが《労働》の優位のもと、《仕事》《活動》が人間的意味を失った近代以降、現代世界の危機が用意されることになった。
人間の条件(ちくま学芸文庫)1575円
L.ヴィトゲンシュタイン Ludwig Wittgenstein(1889-1951)オーストリア「およそ語られうることは明晰に語られうる。そして、論じえないことについては、人は沈黙せねばならない」―本書は、著者が生前刊行した唯一の哲学書。体系的に番号づけられた「命題」から成る、極度に凝縮されたスタイルと独創的な内容は、底知れぬ魅力と「危険」に満ちている。
論理哲学論考(岩波文庫)735円
M.ウェーバー Max Weber(1864-1920)独営利の追求を敵視するピューリタニズムの経済倫理が実は近代資本主義の生誕に大きく貢献したのだという歴史の逆説を究明した画期的な論考。ヴェーバーが生涯を賭けた広大な比較宗教社会学的研究の出発点。旧版を全面改訳、一層読みやすくし懇切な解説を付した。
プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神(岩波文庫)903円
I.カント Immanuel Kant(1724-1804)独世界の恒久的平和はいかにしてもたらされるべきか。カントは、常備軍の全廃、諸国家の民主化、国際連合の創設などの具体的提起を行ない、さらに人類の最高善=永遠平和の実現が決して空論にとどまらぬ根拠を明らかにして、人間ひとりひとりに平和への努力を義務づける。
永遠平和のために(岩波文庫)483円
K.ゲーデル Kurt Godel(1906-1978)米ゲーデルの不完全性定理論文は、数学の定理でありながら哲学、心理学、現代思想、情報科学などの研究者をひきつけ、様々な影響を与えた。「解説」では、不完全性定理論文の歴史的経緯を説明し、その内容を丹念に解説する。
不完全性定理(岩波文庫)735円
R.デカルト Ren´e Descartes(1596-1650)仏すべての人が真理を見いだすための方法を求めて思索を重ねたデカルト。「われ思う、ゆえにわれあり」はいっさいの外的権威を否定して到達した思想の独立宣言である。近代精神の確立を告げ、今日の学問の基本的な準拠枠をなす新しい哲学の根本原理と方法が示される。
方法序説(岩波文庫)483円
W.ベンヤミン Walter Benjamin(1892-1940)独20世紀の最もアクチュアルな思想家、抜群の感受性と批評精神をあわせもつ文学者、繊細なきらめきに満ちた散文の書き手。ヴァルター・ベンヤミンの多岐にわたる仕事のなかから、「翻訳者の課題」「認識批判的序説」など、ベルリン時代の主要な諸篇を収めた。
暴力批判論(岩波文庫)693円
10K.H.マルクス Karl Heinrich Marx(1818-1883)独近代化へと身悶えするドイツで、「近代」の夢と失望を哲学的に先取りしたヘーゲル左派。その運動を自己批判を込めて総括した若きマルクスとエンゲルスは、本書で「近代」のパラダイムを超える世界観を定礎した
ドイツ・イデオロギー(岩波文庫)840円
11J.S.ミル John Stuart Mill(1806-1873)英言論の自由をはじめ、社会生活における個人の自由について論じ、個人の自由の不可侵性を明らかにする。政府干渉の増大に対する警告など今日なお示唆を与えられるところ多く、本書をおいて自由主義を語ることはできないといわれる不朽の古典。
自由論(岩波文庫)735円
12J.ルソー Jean Jacques Rousseau(1712-1778)仏これはもっとも徹底的な人民主権論を説いた書物である。国家は個々人が互いに結合して、自由と平等を最大限に確保するために契約することによって成立する。ルソーはこの立場から既成の国家観をくつがえし、革命的な民主主義の思想を提示した。
社会契約論(岩波文庫)693円
13R.カーソン Rachel Louise Carson(1907-1964)米自然を忘れた現代人に魂のふるさとを思い起こさせる美しい声と、自然を破壊し人体を蝕む化学薬品の浸透、循環、蓄積を追究する冷徹な眼、そして、いま私たちは何をなすべきかを訴えるたくましい実行力。三つを備えた、自然保護と化学物質公害追及の先駆的な本がこれだ。
沈黙の春(新潮文庫)660円
14H.シュリーマン Heinrich Schliemann(1822-1890)独トロイア戦争は実際にあった事に違いない。トロイアの都は、今は地中に埋もれているのだ。空想上の産物とされていたホメロスの事跡を次々と発掘してゆく、考古学史上、最も劇的な成功を遂げた男の波瀾の生涯の記録。
古代への情熱(新潮文庫)380円
15E.フッセルル Edmund G.A.Husserl(1859-1938)墺現象学の始祖フッサールが、『ブリタニカ百科事典』の求めに応じ、「現象学」の項目のために執筆した、ドラマチックな推敲のあとが窺える四つの草稿の集成。変化しつづけたフッサールの思索が成熟した時点で書かれた本書は、まさに“現象学とは何か”その核心を語る。
ブリタニカ草稿(ちくま学芸文庫)1365円
16網野善彦(1928-2004)日本が農業中心社会だったというイメージはなぜ作られたのか。商工業者や芸能民はどうして賤視されるようになっていったのか。現代社会の祖型を形づくった、文明史的大転換期・中世。網野史学のエッセンスがここに。
日本の歴史をよみなおす(ちくま学芸文庫)1260円
17岡倉天心(1862-1913)ひたすらな瞑想により最高の自己実現をみる茶道。「茶は、日常の事実における美しいものの崇拝、すなわち審美主義の宗教としての茶道に昂められた」という。天心は西洋文明に対する警鐘をこめて、茶の文化への想い即ち東西の文明観を超えた日本茶道の真髄を綴った。
茶の本(講談社学術文庫)882円
18九鬼周造(1888-1941)日本民族に独自の美意識をあらわす語「いき(粋)」とは何か。「運命によって“諦め”を得た“媚態”が“意気地”の自由に生きるのが“いき”である」―九鬼は「いき」の現象をその構造と表現から明快に把えてみせたあと、こう結論する。『風流に関する一考察』『情緒の系図』を併収。
「いき」の構造(岩波文庫)588円
19中江兆民(1847-1901)一度酔えば政治を論じ哲学を論じて止まるところを知らぬ南海先生のもとに二人の客が訪れた。次第に酔を発した三人は、談論風発、大いに天下の趨勢を論じる。日本における民主主義の可能性を追求した本書は、民権運動の現実に鍛え抜かれた強靱な思想の所産である。
三酔人経綸問答(岩波文庫)630円
20福沢諭吉(1834-1901)「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言えり」。著名なこの一文で始まる本書は、近代日本最大の啓蒙家である福沢諭吉が、生来平等な人間に差異をもたらす学問の意義を、平易な文章で説いた17の小篇からなる。
学問のすゝめ(岩波文庫)588円
21丸山真男(1914-1996)開国の時期における、自我の原則と所属する集団・制度への忠誠との相剋を描き、忠誠と反逆という概念を思想史的に位置づけた表題作のほか、幕藩体制の解体期から明治国家の完成に至る時代を対象とした思想史論を集大成。
忠誠と反逆(ちくま学芸文庫)1470円
22宮本常一(1907-1981)昭和14年以来、日本全国をくまなく歩き、各地の民間伝承を克明に調査した著者が、文化を築き支えてきた伝承者=老人達がどのような環境に生きてきたかを、古老たち自身の語るライフヒストリーをまじえて生き生きと描く。宮本民俗学の代表作。
忘れられた日本人(岩波文庫)735円
23和辻哲郎 (1889-1960)和辻哲郎の主著であり、近代日本最大の体系的哲学書。東西の古典を渉猟し、現象学・人類学・社会学・地理学など最新の学知を総合。倫理学原理論から共同体論に至る一大構想は、余人の追随を許さぬ壮大さで屹立する。
倫理学(1)(岩波文庫)987円